#0 プロローグ


ある春の、ピチ撮。

その日、参加した10人のピチモたちは、この控え室にて、思い思いに、くつろいでいる。

萌歌「ねぇ、アカラワ。なんかゲーム考えてよ。このテーブルで、みんなでできるやつ」

ふいに萌歌が、屈託ない目で、甘えるように、隣に座る、ちかにねだった。

ちか「へっ!?」

ちか、それまで読んでいた本から目を上げると、栞をはさんで閉じ、大切そうにテーブルに置く。

モカ「だから、ゲームよゲーム。みんな退屈してるもん」

早朝から始まったピチ撮も、今はお昼休み。

すでに、お弁当を食べ終わったピチモたちは、午後の撮影までの間、小説に没頭するちか以外、暇をもてあましていたのだ。

ちか「あ、そういうことか」

言うやいなや、ちかは、目を閉じると、両手で頭を抱えるようにして、なにやら唸なりつつ、考え込み始めた。

ちか 「うーーー」

年間300冊を超える読書量を誇る、ちかの、その雑学力はハンパない。

持ち前の頭脳とヲタ知識を総動員し、その場で瞬時に新しいゲームを作ったり、よく知られられたゲームのルールを臨機応変に作り変えて、より面白くしたりと、とにかくみんなを楽しませるのが得意なのだ。

すると、ここで萌歌。

隣で必死で考え込む、ちかの返事を聞く前に、パンパンと手を鳴らして。

モカ「はーい、みんな集合~! いまから、ちかちゃんが、ゲームやりま~す!」

午後の撮影開始まで、まだ時間は、じゅうぶんある。

遥「え~!? なーにー?」

涼「なにが始まるの?」

そんなこともあり、部屋にいあわせたピチモたちは、興味津々、モカたちのテーブルに、ぞろぞろ集まってきた。